「土居さん、来年はコスタリカへ来てください」今年も若い商社の人間が、コスタリカへ旅立って行きました。
コーヒーにおいて焙煎前の生豆を見ただけで、品質の高さがわかるのか。それほどカンタンな話ではありません。
コーヒーにおいて収穫された後の生豆という「結果」はもちろん重要です。しかし「スペシャルティ」と称される、品質の高さを問うようなコーヒーは、どうやって作りだされたのか。この「過程」がことがことさら問われます。
たとえばコーヒーの木は十分手入れされたのか、葉は定期的に剪定されていたのか、養分は十分に与えられたのか、コーヒーの実の収穫は丁寧になされたのか。品質の高さを追い求めるのであれば、コーヒー農園内でその生豆が作り出された「過程」を、よく見なければなりません。
この生豆を作り出す「過程」を見るために、コーヒーを扱う商社は、現地に駐在員という人間を派遣します。
彼らは現地に住み、農園オーナーとコミュニケーションをとります。ときに農園にどうすれば品質がよりあがるのかという生産指導もする。そして長い年月をとおして、農園でのコーヒー豆が育つ「過程」を見守りながら、より品質の高い銘柄を日々探し出しているのです。
品質の高い農園から生み出された銘柄が楽しめるのは、こうした彼らの努力によるところが、とても大きい。
そうした駐在員として現地へ派遣されるのは、やはり若い方が多い。彼らは言葉の習得を完全に教育してもらい、自分が住むところなど準備万端用意してもらってから現地に飛んでいくというわけではありません。
言葉が不自由だろうが会社命令ひとつで赴任させられます。住むところも自分で調べて探し出さなければなりません。会社としてまだコンタクトがとれていない現地の農園のオーナーとのコミュニケーションも、自分自身で工夫しておこなっていかなければなりません。
知らない土地にひとりで飛び込むのは、きっと不安が大きいことでしょう。
以前ブラジルの農園へ視察へ行ったときに赴任していたある商社の若者と出会ったときのこと。彼はブラジルへついた当初、言葉もろくに話すことも出来なかったそうです。しかし時間がたつにつれ、現地の人と話すようになり「食事も現地の人しかいかない美味しい店をたくさん見つけ出しました」そう笑っていました。
そんななか今回、別の若者がコスタリカへ旅立つということであいさつにきました。「土居さん。来年はコスタリカへ来て下さい。その際は現地のすばらしい農園と美味しいお店をたくさん見つけ出しておきます」彼は笑いながら、わたしにそう言ってくれました。
不安もたくさんあるだろう中、自分の力だけで自分の居場所を作り出そうとしている若者に出会うと、自分も負けてちゃいけないと勇気をもらえる。
別れる際の彼の後ろ姿を見て「おれは挑戦しにいくが、おまえはどうなんだ?」そう挑まれている気がしました。