いろいろな国のコーヒー農園を見てきましたがやはり一番興味深く感じたのはコーヒー生産量第一位をほこるブラジルの農園です。
全世界のコーヒー生産の三割をこの国で生産しています。数多くの農園の中でもダテーラ農園はコーヒーの研究について、一歩先を進んでいます。この農園は、プレミアムコーヒーを扱う会社なら知らない人間はいないというほど、世界的に知名度が高い農園です。
このダテーラ農園はいわゆる大農園です。その大きさは文章ではなかなか伝えきれません。水平線のかなたまでコーヒーの木が植えられておりそのコーヒーの木すべてが、ダテーラ農園のものであるというほどです。
こうした大農園から作り出された銘柄は、品質が落ちるようにとらえられがちです。たしかにその大きさゆえに効率を重視せざるをえない面もあります。ダテーラ農園においてコーヒーの実の収穫は、人間の手作業ではありません。ブルドーザーのような収穫機を使用して収穫します。効率を重視したとき、作り手の気持ちはうすれがちです。
しかし「ダテーラ農園」に驚かされたことは、大規模栽培でありながら、数多くの細部へのこだわりがつらぬかれていたことです。たとえばコーヒーの実はむかれ、その中からコーヒーの生豆が取り出されます。ダテーラ農園においては生豆を取り出した後のこのコーヒーの実は発酵させて、たい肥として再利用していました。
通常こうしたコーヒーの実は川などに投棄されてしまうのですが、再利用することで、化学肥料を使用することなく、また自然環境へダメージを与えることもありません。その証拠にダテーラ農園内では鳥が飛び交い、シカなどの自然動物を見かけることができました。
他にも農園内はきれいに整頓されており、大量のコーヒーの木は、一本一本細かく手入れされていました。また収穫されたコーヒーは、産出地区ごとにコーヒー鑑定士が味のテイスティングをしてチェックをしていました。これらのことを実践しようとすると実際の現場では、莫大な手間とコストがかかります。
『神、細部に宿る。』
だれしもが知っている言葉ですが、実践し続けることはモノづくりの現場においてはむずかしいことのひとつです。しかし「一流」と評価されるこのダテーラ農園は、他の農園が導入していない画期的な技術を取り入れているわけではなく、こうした細かい「当たり前」を積み重ねることで、自分たちの農園の名前を世界中に知らしめていました。
昔日本に当たり前にあったモノづくりの原点を、ブラジルの農園からあらためて教えてもらった気がしました。